出産と抜歯、どちらが痛かったか聞いてくる息子

 

 

大学生の息子が、なんとも情けない表情をしている。サークルでは部長を務め、皆の信頼も厚く、私には内緒にしているが、可愛い彼女がいることも実は知っている。来年から就職活動が始まるが、きっと息子のことだから、そつなくそれなりの会社の内定をもらってくることだろう。そんな息子なのに、この表情。たかだか歯医者さんで抜歯をしなければならないだけなのに。

 

仙台 歯医者のサイト

 

息子は乳歯の時だけ虫歯になったことがあり、歯科治療の経験はその時だけだ。もちろん、小さい子にする、いずれは抜けてしまう乳歯に対する治療なので、痛いことなんてあるはずもない。ただ、子どもだったから、痛くなくても怖がり、大騒ぎだった。何回かに分けて行われた治療では、息子は毎回大泣きをして、滝のような汗をかき、治療後に待合室で肌着を着替えさせなければならないほどだった。そんなことがあったからか、息子は小さい頃からしっかり歯磨きをする子に育ち、永久歯が生え揃ってからは、虫歯にもならず、歯医者さんとも縁がなかった。

 

グループ紹介|麻生セメント株式会社〈麻生グループ〉

 

ところが最近になって、親知らずが顔を出し、他の歯を刺激して痛くなってきたため、歯医者さんのお世話になることになったのだ。そしたらもう、いつもの余裕しゃくしゃくといった感じの息子はなりをひそめ、急にそわそわオロオロと落ち着かなくなってきた。どうしても抜歯しなければいけないのか、歯医者さんのお世話にならないで親知らずの痛みを和らげる方法はないのか、インターネットで調べてみたり、急に私に向かって、出産と抜歯、どちらが痛かったかと聞いてきたりする。真面目に答えたって、男である息子に出産の痛みは参考にならないと思うのだが。

 

第24回歯科衛生士国家試験の施行|厚生労働省

 

虫歯にならないためにケアを怠らなかった息子でも、親知らずには勝てなかった。専門の歯医者さんに頼むのだからそれ程恐れることはないと思うのに、子どもの頃に根付いた恐怖心というのは、相当大きいようだ。



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